DV(ドメスティック・バイオレンス)は、いまや社会問題にもなっています。
DVは「殴る蹴るといった暴力を受けること」だけではなく、精神的や経済的な暴力も含まれます。
もしかしたらこの記事は、今までDVだと思っていなかったことが実はDVだったと気付くきっかけになるかもしれません。
一緒にDVについて理解して、心と身体の安全を確保しましょう。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは?
実はDVには明確な定義はありません。
一般的には、夫婦間や内縁関係であったり、同棲中のカップルなど親密な関係にある人、またはそういった関係だった人から振るわれる暴力を指します。
またDVの被害者には男性も含まれており、相談件数の約2割をしめています。
DVは重大な人権侵害であり犯罪行為です。
DVは殴る蹴るだけじゃない!6つのDV
身体的暴力
いわゆる殴る蹴る等の力による暴力です。
おそらく一般的にDVと聞くと、真っ先に思い浮かぶ典型的なDV行為です。
- 殴る・蹴る
- 物を投げつける
- 髪をつかむ
- 押さえつける
- 首を絞める ・・・など。
性的暴力
たとえ夫婦や恋人であっても、性的な嫌悪感を抱かせる行為は性的暴力です。
- 性行為を強要する
- わざと避妊しない・中絶の強要
- 性的な写真や動画の撮影を迫る
- 性的な写真や動画の閲覧を強制する
- 変態行為を強要させる ・・・など。
精神的暴力
身体に傷は残らなくても、心に傷を負わせることは精神的暴力です。
- 大声で怒鳴る
- 無視する
- 人格を否定する
脅す・罵る - 人前で馬鹿にしたり罵詈雑言を浴びせる
- 何かにつけて「お前のせいだ」と責任転嫁する
- 「別れるなら死ぬ」「秘密をバラしてやる」といった脅迫
- トラウマや思い出したくないことを執拗に言う ・・・など。
経済的暴力
意図してお金に関する苦悩を与える、また家庭内貧困などは経済的暴力です。
- 生活費を渡さない(夫婦間で大きな経済格差がある等)
- 無断で借金を重ねる
- デート費用などを毎回負担させる
- 経済状況にそぐわない高価なプレゼントを買わせる
- 無理やり借金を負わせる
- 働かせて貢がせる ・・・など。
社会的暴力
相手を過剰に束縛したり、自由を奪う行動やプライバシーを侵害することは社会的暴力です。
- 行動を束縛する
交友関係を厳しく監視・制限する
スマートフォンなどを無断で閲覧監視する - 自由な外出を禁止する
過度なルールを設けて強制する ・・・など。
子どもに関係する暴力
子どもにも悪影響を及ぼすDVで、これは子供に対する心理的虐待にもあたります。
- 子どもの前で暴力を振るう(面前DV)
- 子どもに対して危害を加えることをほのめかす
- 自分の言いたいことを子どもに代理させて言わせる
DVには「ハネムーン期」「蓄積期」「爆発期」の周期がある
DVを行う人の特徴として「ハネムーン期」「蓄積期」「爆発期」のサイクルが挙げられます。この3つがグルグルと繰り返されることで、DV被害者の人は逃げられない状況に陥ってしまいます。
また「お酒を飲むと暴れるが、酔いが醒めると謝罪してくる」というケースも多くあります。
全てのDVに当てはまるとは限りませんが、もしこのサイクルを見て心当たりがあるならば、それはDVを受けている可能性があります。
緊張期
今すぐにでも怒り出すのではと、気が気でない状態です。
相手の機嫌を損ねないよう常に気を使ったり配慮しなければならず、精神的にも疲労が溜まります。
DVによっては、常にこの緊張期が続いているパターンもあります。
爆発期
強く暴力を振るってくる段階です。
先にも述べた通り、暴力は殴る蹴るといった身体的暴力だけではありません。
この段階に到達する前に相手との距離をおかねばなりませんが、もしこの状態に突入してしまった場合は、まず自分の身体と精神の安全を第一優先として避難してください。
安全に距離をおく方法や避難の方法は、次の項目で詳しくご説明します。
ハネムーン期
暴力をふるった時が嘘のように別人になります。まさに結婚当初のハネムーンの時のごとく優しく接してきます。
「本当に反省している」「もう暴力をふるわない」などと、暴力をふるったことに対しての謝罪や反省を口にしたり「愛している」「君しかいない」など甘い言葉を囁きます。
すると「この人は本当は悪い人ではない」「この人には自分が必要」などと思ってしまい、ますます離れることができなくなってしまいます。
騙されないで!その相手の姿や発言は「嘘・偽り」です!
このハネムーン期があることで、誰かに相談する、訴える、逃げる のきっかけを失ってしまいます。そしてまた緊張期に突入し、爆発期でまた暴力を振われるのです。
DVを行う相手が一時的に優しくなるのは、あなたという都合の良い存在が離れていくのを防ぐためです。
自分がDVを受けているか確認するための項目
もし下記の項目で思い当たる項目が多い場合、気付いていないうちにDV被害に遭っている可能性があります。
(引用:舞鶴市HP)
この項目だけではDV被害に遭っているかを判断することは難しいのですが、少なくとも該当する項目が複数ある場合は、一度落ち着いて自分の気持ちや今までのこと、これからのことを考えてみましょう。
DVから逃げるは恥でもないし役に立ちすぎる
緊急性がある場合
今まさに相手から暴力を受けている、身の危険を感じるなど、緊急性がある場合は迷わずに110番通報しましょう。
誰かに相談したい
DV相談プラスという心強い窓口があります。
「これってDVかなぁ」とか「どうすれば良いかわかならい」時など、専門の担当者が24時間いつでも電話やメール、チャットで応対してくれます。
DV相談プラスは一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営していますので、安心してください。
また各都道府県などでは、DVの相談窓口を開設しています。
Googleなどの検索エンジンで「(いま住んでいる都道府県の名前) DV 相談」等の検索ワードで検索すると、お住まいの都道府県の相談窓口の情報が上位表示されます。
暴力をやめさせたい
警察もしくは県の配偶者暴力相談支援センターへ相談しましょう。
加害者の逮捕、警告や指導、被害者の避難、一時保護など、あなたの安全を第一に対処してくれます。また「加害者に住所を知られたくない」「相手と交渉するために警察署を利用させて欲しい」等にも対応してくれるため非常に安心です。
また警察や配偶者暴力相談支援センターは、性別問わず対応してくれます。
加害者から離れたい
DVシェルターというものをご存知ですか?
DVシェルターとは、DVによる暴力から避難するための場所です。
都道府県や市町村が設置する母子生活支援施設や民間DVシェルターなど、各都道府県のさまざまな場所にあります。
DV相談プラスをはじめとするDVの相談窓口や警察、県の配偶者暴力相談支援センターなどに相談する際に最寄りのDVシェルターや避難方法なども一緒に確認しましょう。
加害者を引き離して欲しい
裁判所(地方裁判所)へ保護命令の申し立てを行うことで、法的に守られることになります。
保護命令によって、加害者が申立てを行ったあたなへ近寄らないよう命じます(接近禁止命令)。
また同居している住居から立ち退かせたり、子どもや親族にも近寄らないように命ずることもできます。
詳しくは裁判所の「10. ドメスティックバイオレンス(DV)(配偶者暴力等に関する保護命令申立て)」を確認してみてください。
いざというときの備え
DVによる暴力は、時として命を失うことにもなりかねません。
もしもの時に備えることは、非常に重要です。
「110番通報登録制度」
あらかじめ警察に連絡先を知らせて登録することで、110番通報をした時に住所や氏名を言わなくても、誰からかかってきたかを警察が把握することができるため、迅速な対応が可能になります。
もしもの時、110番通報したけれど「相手に電話を奪われてしまった」「声が出せない」といった状態でも、警察はあなたからの電話だということを把握することができます。
「110番通報登録制度」の名称などは各都道府県によって異なる場合がありますので、最寄りの警察署に相談してみましょう。
防犯グッズ・護身グッズを活用する
「ボイスレコーダー」で証拠を残す
相手の罵声やあなたの叫び声など、DVが行われている現場の音声記録を残しましょう。
これは後に警察や相談窓口に行く際に、あなたの潔白と事実を証明するための強い証拠になります。
「隠しカメラ」で証拠を残す
映像として残すことができれば、DVの動かぬ証拠になります。
最近では小型で長時間録画が可能なカメラも多く、手軽に入手することができます。
こういった小型カメラは盗撮などに悪用されがちですが、DVの現場を録画する等は正しい使用方法です。相手にバレない場所への設置(日用品に紛れ込ませたり、紙箱に穴を開けて中に入れるなど)を行い、決定的な証拠を確保しましょう。
「催涙スプレー」で相手から逃げる
実際にこの催涙スプレーを使用したことで、自分や子供の命が助かったという事例が多くあります。酔った勢いで包丁を振り回された場合など、普通では太刀打ちできません。
催涙スプレーで相手の動きを抑えることで、逃げる際に追いかけられて捕まる危険性を抑えることができます。また催涙スプレーは非常に強い痛みを相手に与えて一時的に行動不可能にしますが、後遺症は残りません。安全な場所へ避難するためにも、迷わず使いましょう。
忘れてはいけません!DVを行う人は「犯罪者」です!
暴力行為を行った場合は「暴行罪」
故意に物を投げてきた時、投げた物が当たらなかったとしても成立します。
暴力をふるって怪我させた場合は「傷害罪」
相手を脅すようなことをすれば「脅迫罪」
合意なく性交渉を強要すれば「強制性交等罪」
配偶者暴力防止法(DV防止法)という法律もあります。
DVは愛情表現でありません、犯罪行為です。
DVを受けている人へ
もしあなたがDVを受けているなら、もう我慢しなくても良いのです。
あの人と別れたら沢山の何かを失うかもしれないと思うかもしれませんが、今の状態に甘んずることなく、小さな勇気を出して、この悪夢のループから飛び出してみましょう。
今の生活を失うことや経済的な不安もあるでしょう。
子どもの将来や親類への被害も心配でしょう。
しかし、いまのままでは何も解決しません。
そんなことは、あなた自身が一番わかっていることかもしれません。
しかしDV被害に苦しんでいた多くの人は言います。
「なんであの時、あの状態に止まっていたんだろう。」
「もっと早く逃げていればよかった。」
「ずっと洗脳されていたんだと、やっと気付けた」
もう十分我慢したではないですか。大丈夫、もう自由になっても良い時ですよ。
DVを行っているかもしれないと思った人へ
もしこの記事を読んで「自分は知らずにDV加害者になっていたかもしれない」「悪気はなかったんだけれどDVだったのかもしれない」と気付いた人がいるかもしれません。
気付けたあなたは、大きな1歩を踏み出せましたね。
大切な人と一緒に幸せに暮らしていけるように、今までの行いを悔い改めて、信頼を取り戻しましょう。