「エイリアンが攻めてきた!みんなシェルターへ逃げろ!」なんてSF映画のワンシーンのようですが、実際にそういった突発的な危険から身を守るためのシェルターは身近にも多く存在しています。
もしも突発的な災害や事件事故に見舞われたとき「どこかに逃げる場所はあるか」と探しますよね。
その時に「シェルター」の存在を知っていると、素早く安全に身を守ることができるかもしれません。
あらゆる災害から身を守る「シェルター」とは?
シェルターとは、一言でいえば避難所のことです。
そしてシェルターと呼ばれるものには、さまざまな用途があります。
火山用避難シェルター(引用:桜島フェリー) 防火シェルター(引用:東光鉄工)
スノーシェルター(引用:日本サミコン株式会社) 浮揚式津波洪水対策用シェルター(引用:タジマモーターコーポレーション)
用途によって形状や性能が異なりますので、一見しただけで「あ、これは○○用のシェルターだな」とわかる場合もあります。特に活火山の近くに住んでいる方は「噴石や火山灰などから身を守るための火山用シェルター」、また豪雪地帯に住んでいる方は「雪から道路を守るためのスノーシェルター」などは、とても身近な存在かもしれませんね。
シェルターの設置方法
シェルターは用途によって性質が異なりますが、おおよそ2つの設置方法に分類できます。
地上設置型
地上に設置するタイプのシェルターは「屋外に設置するタイプ」と「室内に設置するタイプ」に分けられます。
屋外に設置するタイプ
地震や津波などによる建物崩壊を影響を避けるために屋外へ設置します。
また室内にシェルターを設置するスペースが無い場合などは、大抵は同じ敷地内の屋外に設置されます。
屋外に設置するタイプのシェルターには、津波や洪水の際に自らの浮力によって水面に上がり、沈んでしまうことを防ぐ機能があるものもあります。
引用:ワールドネットインターナショナル株式会社
上の写真は、どちらも津波などの水害を想定したシェルターですが、一方は水に浮く小型なタイプ、もう一方はコンクリート造の頑丈な設置タイプです。
屋内に設置するタイプ
引用:有限会社エコルート 引用:ワールドネットインターナショナル株式会社
屋内に設置するタイプのシェルターも、簡易的なものから四方を囲った重厚なものまでさまざま存在します。
実は法律や税金も関係してきます。
屋外に設置するタイプのシェルター(地上・地下問わず)には、形態によっては住居とみなされて固定資産税の支払い義務が発生する場合があります。室内設置の場合は、そういった建ぺい率や容積率などの建築基準法や、固定資産税などの税金関係の制約がないのが利点です。
地下埋設型(地下シェルター)
引用:アトラス・サバイバル・シェルターズ社 引用:空間デザイン8
いわゆる地下室を作ることで、地上で発生するさまざまな障害から身を守ることができます。
階段を設置する大型なものから、ハッチを開けてハシゴで昇降するタイプのものまで、さまざまな広さや設備を揃えています。
工事としては大掛かりなので設置に伴う費用が高いですが、海外では主流となっているシェルターの設置方法です。
ただ個人的な見解ですが・・・もし倒壊した建物などが出入り口のハッチを塞いでしまったら、どうするんでしょうね。考えただけでもゾッとしてしまいますね。
海外で普及している核シェルター
戦争などで核兵器が使用される状況などを想定した「核シェルター」というものがあります。
放射能や爆風などに耐えうる構造になっており、シェルター内で数日間は生活することができるようにエアフィルターや備蓄が備わっています。
各国の核シェルター普及率
日本は世界でも唯一、核兵器が2度も使用された被爆国です。
また東日本大震災においては福島第一原子力発電所の事故によって、放射性物質による被害が発生しています。
また北朝鮮の核開発と、弾道ミサイル発射実験によって全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴り響いたことは覚えている方も多いと思います。
その割には、日本国内における各シェルターの普及率は極めて低いんですね。
個人でも購入可能なシェルター
なんだかシェルターと聞くと、非常に大掛かりな公共施設なイメージがありますよね。
しかしシェルターは国や自治体などが設置する大型なものから、個人で購入できる小型のものまで、さまざまなシェルターが存在します。
また本記事で紹介しているシェルターの多くは、個人でも購入が可能なものが大多数を占めています。
シェルター内部は意外と快適?
シェルターといえば、薄暗くて陰気でおぞましい・・・なんてイメージを持たれている方もいるかもしれません。しかし最近のシェルターは「ここに住めちゃうじゃん!」と思ってしまう程に素敵な環境のものもあります。
![](https://mamorumi.com/wp-content/uploads/2020/12/c91c75be38bffe4d05c6d62e7e629058.jpg)
上の写真を見ると普通の素敵なお部屋だと思ってしまいますが、実はシェルターの中です。
奥に綺麗なお姉さんが映ってますね、屋根の高さ的にもまったく問題なさそうです。
(もちろん家具などはオプションです、お姉さんも付いてきません。)
いま地下シェルターが人気なのか?
実は個人用の地下シェルターの施工件数が増えているようです。
また新築で住宅を建てる際に、最初から地下シェルターを設置したいと希望する方も多いようです。
そこには、地下だからこその利点がありました。
防音性を生かした「音響空間」を実現
なんといっても地下ですから、防音性は地上よりも良いわけです。
それを生かして、24時間好きな時間に気兼ねなく楽器を演奏したり、大音量で音楽を楽しむといった「自分だけの音楽空間」を実現できてしまいます。
また大きなモニターやプロジェクターなどを設置して、自分だけのシアターとして使用している人もいます。
楽器を演奏したり音楽や映画を楽しみたい人にとっては、まさに夢の空間ですね。
誰にも邪魔されない静かな空間
逆に静かな空間としても地下シェルターは活用できます。
地上では車の走行音や飛行機のエンジン音、人の会話などさまざまな雑音が発生しています。
静寂に包まれた自分だけの空間で、ゆっくり読書を楽しむ・・・おそらく多くの人々が1度は夢見た空間ですね。
地下シェルターの特性を生かすことで、日常の喧騒から解き放たれた自分だけの空間を作ることもできそうです。
ワインセラーやコレクションルームとして活用する
ワインがお好きな方の中には、地下シェルターをワインセラーとして活用している方もいるようですね。また大切なコレクションを保管するためにコレクションルームとして活用している人もいます。
地下室は温湿度変化の少ないため、こういった一定の温度に保ちたい場合でも非常に効果的です。
またもし災害が発生しても、大切なコレクションが守られる安心感は絶大なものです。
暴力や虐待から身を守るための「DV・GVシェルター」
シェルターといっても、自然災害や特殊災害から身を守るためのものだけではありません。
冒頭でもご説明した通り、シェルターとは「避難所」の意味ですので、さまざまな事柄から避難する先をシェルターと呼称されています。
DV・GVシェルターは、犯罪から身を守るための「防犯に重きをおいたシェルター」です。
DVシェルターとは
DV(ドメスティック・バイオレンス)つまり家庭内での暴力や虐待から身を守るための一時保護所です。
GVシェルターとは
GB(ジェンダー・バイオレンス)つまり夫婦や恋人など、親しい関係にあるカップル内において行われる暴力から身を守るための一時保護所です。
DV・GVシェルターはどういったシェルターなのか
主にDV・GBシェルターは、行政が運営している公的シェルターと、NPOなどの民間団体が運営する民間シェルターがあります。
2002年に厚生労働省から「母子家庭等自立支援対策大綱」が打ち出され、「母子生活支援施設や(いわゆるDVシェルターを含む)住宅など自立に向けた生活の場の整備」の一環として、地域で生活する母子への子育て相談・支援機能の付与や、保育機能の強化、サテライト型などの機能改変が進められ、行政機関と母子生活支援施設、民間DVシェルターの連携が進められている。
引用:Wikipedia「DVシェルター」
![](https://mamorumi.com/wp-content/uploads/2020/12/30315e2a15ecaeb87761c83a01be1745-1024x577.jpg)
DVで近所の方に通報されて、相談に乗ってくれた生活安全課の刑事さんに勧められた。
引用:ガールズちゃんねる「DVシェルターについて」 匿名さんのコメント
仕事してたし子供も小学生だったから結局入らなかったけど、「逃げ込む場所がある」っていうのは一つの選択肢として救いにはなったよ。
10代の頃シェルターに入りました
引用:ガールズちゃんねる「DVシェルターについて」 匿名さんのコメント
携帯などは預けての生活。他に入っている方には詳しい話はしてはいけないと言われました。
詳しい話はしませんでしたが、一緒にテレビを見て話すことはしていました。
規則正しい生活が出来てました。
暴力の心配もなかったから落ち着けて良かったです。
私は夜中に揉み合いの喧嘩になり、子供と追い出されて行く場所なかったから交番行ってシェルター入りました。
引用:ガールズちゃんねる「DVシェルターについて」 匿名さんのコメント
DVや暴行も今まで一切なく、その時も暴行などはなかったです。
交番や警察署でそう話しましたが、帰るのが嫌だったためシェルターになりましたよ。
シェルターはもっと「身近なもの」であるべきかもしれない
さまざまなシェルターをご紹介しましたが、どれも災害や事件事故が発生した際に「生き残る」ためのサバイバル施設ですよね。
しかし、もしもの時の為のみに存在しているわけではなく、平時も有効に活用できる方法などあります。「シアター」や「防音室」「貯蓄倉庫」などですね。
またDV・GVシェルターなど、防犯対策としてのシェルターや、福祉に関連するシェルターも存在します。
もし突発的に逃げ込まなければならない状況になったとき、シェルターが身近なものでなければ避難先としての選択肢から外れてしまう可能性もありますし、十分な理解がない場合は適切なシェルターへ避難することもできません。
遠い国の防災施設だと思ってしまいそうなシェルターですが、日本でも身近な存在です。
今回ご紹介しきれていないシェルターも沢山あります。
自分たちの生活圏に、どのようなシェルターがあるのか一度調べてみると良いかもしれませんね。