【保存版】はじめての防災リュック(非常持ち出し袋)の選び方。基本から応用まで徹底解説!

事故・災害対策

防災リュック(非常持ち出し袋)を用意してみようかな、と思ったあなた。
素晴らしいです!もうすでに防災対策の1歩を踏み出しています!

初めて防災リュックを用意しようとしたとき、いろいろ考えなければならないことがあります。

災害時に本当に使える、余計な苦労をしない、あなたや家族の命を守るための防災リュックの作り方。ほんの少しだけ、私たちにお手伝いさせてください。

そもそも防災リュックってなに?

ここでは、リュックサックを使用した非常持ち出し袋のことを指します。

非常持ち出し袋とは、突発的に発生する災害や事故などに遭遇したとき、防災用品をすぐに持ち出せて避難所や避難場所などに持っていくためのものです。
主に「被災直後から救護活動が始まるまでの数日間」を生き抜くためのサバイバイルセットで、避難後に生きるための防災用品や備蓄食などを詰め込んでおきます。

なぜ「リュックサック」タイプが推奨されるの?

「非常持ち出し袋」と言うと、袋なら何でも良いのでは?と思ってしまいますよね。

例えば自宅に余っているボストンバッグやハンドバッグ、麻袋などを代用しても、非常持ち出し袋としての機能を果たすことは可能です。

しかし、非常持ち出し袋が活用される場面は「突発的な災害や事故などで、可及的速やかに避難をしなければならない」という状況です。その時の鉄則として「両手が塞がれない状態」が望ましいのです。

リュックサックタイプではれば、背負えば両手を使うことができます。
斜めがけバッグでも両手を使うことができますが、安定性が乏しいため「走って逃げる」際などに邪魔になってしまいますし、リュックサックに比べて収納力も小さいためオススメできません。

防災リュックで最も注意する点は「重さ」

結論から申し上げますと、防災リュックは中身よりも「どれくらいの重さか」が一番重要です。

防災リュックを準備するとき、意外と忘れがちなのが重さ。

いざ避難する際に、防災リュックが重すぎると素早い避難や移動が出来ないどころか、避難で体力を消耗してしまうハメになります。

何があっても困らない完全無欠な防災リュックを作るぞー!

アレもコレも入れておこう!あ、ソレもあったら便利かな・・・

パパー!重くて持てないよーっ!

アイタタッ・・・
背負おうと思ったら腰が・・・
こんな重いリュックを背負って移動は辛いわぁ

防災リュックに入れる防災用品は「必要最低限」にとどめる

防災リュックの中身を厳選する際、ついつい心配になって沢山のものを詰め込みたくなります。
また全ての用品を入れたあと、少し隙間があると何か詰め込みたくなってしまいます。

その気持ちをグッと抑えて、防災リュックに入れる防災用品は必要最低限にとどめましょう。

防災リュックに入れるべき防災用品の一覧は、下記の記事でご紹介しています。

イテテッ・・・!
避難する時に怪我しちゃった!

まぁ大変!早く消毒しないと!
消毒薬が防災リュックの中に・・・あれ?どこ?
もう全部中身を出さないと、どこに入ってるのかわからない!

不要なものが沢山詰め込まれていると、いざ本当に必要なものを取り出したい時に邪魔になって時間がかかってしまいます。

また災害は天気を選んでくれません。雨や雪が降る寒い屋外で、防災リュックの中身を全て取り出すことにならないよう、種別によって小分けにするなど「必要なものがすぐに出せる」を心がけましょう。

防災リュックは被災後も平時と同じ水準で生活するためのものではありません。
避難中や避難後に死なないために準備するものです。

防災リュックを作る・買う際は「用意する順序」が大切

いざ防災リュックを作ろう!と思って行動したは良いけれど、思わぬ誤算で思わぬ出費が・・・なんてことにならないように、失敗しない事前準備や購入の順序を覚えておきましょう。

まず防災リュックのリュックサックよりも、防災用品を先に集めよう

かわいいリュックサックを買ったんだけど
小さすぎて防災用品が入りきらない!

大きめの登山用リュックを買ったんだけど

もっとコンパクトにまとめられたらなぁ

思ってたよりも入れる物が重かった・・・

これならもっとシッカリとしたリュックを選ぶべきだった

ついつい見た目が先行してしまって、防災リュックのリュックサック選びから始めがちです。
しかし防災リュックのリュックサックは「必要な防災用品を入れて運ぶためのもの」ですので、優先すべきものは「防災リュックに入れる防災用品」です。

また参考情報ですが、男性は40L位、女性は30L位、小さな子供は10~15L(ランドセルと同等サイズ)を目安として、リュックサックを選ぶと良いでしょう。

「結局リュックサックを買い換えるハメになった」とならないように、まずはリュックサックに詰める内容物の量や大きさ、重さなどを確認しましょう。

「防災用品○○点セット」を買って満足してはいけない

現在、巷では多くの防災セットが販売されています。
中には「防災士が監修」や「豪華60点セット!」と銘打っている商品もありますね。

一見お得のように思えますが、はたして本当にお得なのでしょうか?
ちょっと冷静にメリットとデメリットを考えてみましょう。

防災セットのメリット&デメリット

メリット
  • さまざまな防災用品が一通り揃えられているので導入が非常に楽チン
  • 単品で買うよりも安く揃う場合が多い
  • 総重量が明記されている場合は防災リュックの重さの目安にできる
  • 防災ガイドなどの情報冊子が付属している場合もある
  • リュックとセットになっているものは、付属する全ての防災用品を収納できるサイズになっている
デメリット
  • 必要なものが入っていなかったり、不必要なものが入っている場合がある
  • 自分や家族構成などに合わないものは買い換える必要がある
  • 単品で買うよりも品質が劣る製品が入っている場合がある
  • 「何がどれくらい用意されているか」を覚えにくい
  • リュックとセットになっているものは、防災用品を追加したくてもスペースが足りない場合がある。

本音を言えば「単品購入」で揃えた方が良い

例えば4人家族で、人数分の同じ防災セットを購入したとします。
同梱されている防災用品の種類が統一されるため一見良さげに思えますが、その防災セットに「防災ラジオ」が同梱されていた場合はどうでしょうか?

一人に一台、つまりの防災ラジオを4台も備蓄することになります。
流石にそんなには不要ですよね。

また防災セットの中には「もっとコンパクトで高性能な製品」があるにもかかわらず、いかにも売れ残り商品の詰め合わせパックのような「これは年始の福袋か?」と思ってしまうような防災セットも散見されます。

「余ったら誰かにあげれば良い」というのも一つの手ですが、あなたが購入した際に支払った代金の中には、それらの防災用品代も含まれています。ならば無駄を省いて、他の防災用品をグレードアップした方が良いのではないでしょうか。

またそういった防災セットを購入してしまうと、必然的に防災リュックも大きくなり、避難の際の妨げになってしまう可能性もあります。

多くの人は「入ってた」よりも「買った」の方が記憶に残りますので、どの防災用品がどれだけ備蓄されているかを把握するには、単品で購入した方が有利です。
日常的に使用しているものと合わせれば、ローリングストックを行うこともできます。

防災リュックの中身として揃えたい防災用品の一覧は、ぜひ下記の記事で確認してみてください。

防災リュックはデザインが気に入ったものを選ぶのもアリ

(引用:Amazon)

合理的に考えれば、防災リュックは機能的なものを選ぶべきとなります。

実は私も、最初は「暗闇で見つけにくい黒色のリュックはナンセンス!」と思っていましたし、今でも思ってはいます。もし深夜に被災した際、停電した室内で防災リュックを探したり、避難中などの安全面などを考えると、反射素材で明るい色調のリュックの方がはるかに効果的です。

防災リュックにカッコ良さはいらない!しかし・・・銀色素材に赤文字で「非常持ち出し袋」と大きく書かれた「いかにも非常用ですと言わんばかりのリュック」に愛着は湧きますでしょうか。

「いやいや、愛着うんぬんはどうでも良くて機能優先でしょ」という方にはベストだと思いますが、そういった防災リュックを玄関やリビングなど、いつも目に止まり手に取れる場所に置いておけるかが問題です。

オシャレな室内に漂う違和感・・・いつの日かクローゼットに入れられてしまい、存在も忘れかけて、ふと気付いた時には防災リュックに入れていた非常食の消費期限も切れてて・・・なんてことになったら、せっかくの防災リュックも台無しです。
いざ災害が発生した際に、防災リュックの存在なんて忘れて外に飛び出してしまうかもしれません。

決して「銀色素材に赤文字の防災用リュック」をディスってる訳ではありません!あれは防炎協会が認定するリュック型非常持出袋です。防災リュックとしては非常に優れていますし、ベストバイだと思います。

ちょっと極論になってしまいましたが、要は「防災リュックに愛着を抱くことができるか」というのは、防災対策を継続する上で非常に重要な要素のひとつです。

防災リュックの「リュックサック」を選ぶポイント
  • 気に入ったデザインのものであれば愛着も湧いて防災対策も楽しくなる
  • 必要な防災用品が収納できるサイズのものを選ぶ
  • 仕切りがあったりポケットが豊富など、必要なものを管理しやすい物が良い
  • 防水仕様は必須、さらに防火処理が施されていれば安心
  • 大きすぎず小さすぎず、すこし余裕があるくらいのサイズがベスト
  • 男性は40L位、女性は30L位、子供は10~15L(ランドセルサイズ)を目安とすると良い

リュックサックに防災用品を詰める際のコツ

防災用品の詰めかたで、同じ物を入れても背負った際に軽く感じさせることができます。

荷物を詰める(パッキングする)ことに関しては、登山家の方々の意見や方法が大変参考になります。

重たいものは上の方に、軽いものは下の方に配置する

(引用:UPON 富士登山の持ち物チェックリストとリュック・ザックの荷造り術
重いものの一例
  • 保存水や非常食の予備分
頻繁に出し入れするものの一例
  • ウェットティッシュ
  • 飲料水
  • ビニール袋
  • 塩飴・塩分タブレット(夏期)
  • 日よけ帽子(夏期)
すぐに取り出せる状態にしたいものの一例
  • エマージェンシーホイッスル(笛)
  • ヘッドライト(頭につけるタイプのライト)
  • 防塵マスク
  • 軍手
  • 救急セット(絆創膏・消毒液・滅菌ガーゼなど)
  • 胃腸薬など常備薬
  • ホッカイロ(冬期)
  • 防寒・保温シート・アルミブランケットなど(冬期)
  • 予備のメガネ

実際に防災リュックを背負って避難所や避難場所まで歩いてみる

防災リュックが完成したら、一度実際に背負って最寄りの避難所や避難場所まで歩いてみましょう。

背負った時は違和感がなくても、実際に歩いてみると実感が変わってきます。

ゼェ・・・ゼェ・・・あれ?
実際に背負って歩いてみると、意外と重たく感じるなぁ。
リュックの中身も偏ってて歩きづらい・・・
足も腰も痛くなってきた・・・

自分の体力を過信せず、無理のない重さにすることが大切です。

また、家族など自分以外の人が背負うことになった時、その人も無理がない重さも意識すると良いでしょう。

もし想像していたよりも重かった場合は、防災リュックに含める防災用品の調整を行う必要があります。
家族がいる方は他の防災リュックに移し変えたり、一人暮らしの方は「これは無くても死なない」といった優先順位で、防災リュックに含める防災用品の見直しをおこないましょう。

合わせて、避難所や避難場所への道順を歩くのと一緒に「ハザードマップで危険区域がないか」「道幅や障害物など危険になりそうなものはないか」なども一緒に確認しましょう。

「防災リュックがあれば安心」で終わらず実際に背負って歩いてみよう。
ハザードマップも活用して安全に避難できるか試してみよう。

最後に、防災リュックを作るコツは「考えすぎないこと」

さんざんアレコレと言っておきながら「考えすぎるな」とは何事!と思われるかもしれませんが、防災リュックを用意するときに「アレもコレも考慮しないと」と考えすぎると、途中でパニックになってしまいます。

その結果「まぁ、これでいいや」と防災用品○○点セットを購入して「はたしてこれで足りているのだろうか・・・まぁセット販売されてるヤツだから大丈夫だろう」と自分を納得させてしまう場合があります。

いざ災害が発生した時に、足りないものや余分なものがあったら、いらぬ苦労を強いられてしまいます。

一気に揃えようとせず、ちょっと時間をかけて少しずつ準備するくらいの余裕を持てば、必要か不必要かなどを冷静に判断することもできます。

焦らなくても、大丈夫です。
考えすぎずに自分のペースで進めていきましょう。

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